紅王子と侍女姫  107

 

 

王城に戻り、双子騎士と共に買ってきた土産をトランクに詰め込むと、あとは何もすることがない。

東宮庭園を散策してもいいと言われたが、夕闇迫る時刻に一人でふらふら歩いていては不審がられるだろう。掃除でもしようかと立ち上がるが、ベッドや風呂は早朝に済ませている。花瓶の水替えでもしようと思い立った時、扉を叩かれた。扉を開けると魔法導師のカリーナがいて、街の様子はどうだったか、体調に問題はないかと尋ねてきた。

「案内役が双子騎士だと、余計に疲れたのではないですか?」

「いえ、とても親切に御案内して頂きました。田舎育ちなもので、王都の人の多さに大変驚きましたが、エディ様オウエン様のお蔭で、たくさんの店を見て回ることが出来ました。ただ土産を買うというのが初めてで、思った以上に帰りが遅くなり御心配お掛け致しました」

「ディアナ嬢が楽しまれたのでしたら問題ありませんわ」 

ディアナはカリーナに街で食べた料理や寄って来た店の話をしながら菓子やパンを出し、紅茶を淹れた。そして両親や姉夫婦、城で働く皆に何を買って来たかを話している内に、魔法導師を含めた王子たちには何も買ってきていないことに気付き、ディアナは顔色を変えて飛び上がるように立ち上がった。 

「ああっ! あ、あの、カリーナさん。も、もう一度、街に行って来ても良いでしょうか? 買い忘れたものがありまして、急いで行って来ますから」  

ひどく慌てた様子で部屋を出て行こうとするディアナの腕を、カリーナは慌てて掴んだ。 

「そんな慌てていては怪我をしてしまいます。それにもう正門を含め、全ての門を施錠しました。明日の午前中までお待ち下さい。・・・ディアナ嬢、落ち着いて」 

「明日の午前中・・・、あの、で、殿下は」 

「殿下でしたら明後日の出立まで執務室に詰められているはずです。何か急ぎの御用事でも?」

「い、いえ・・・」

今日明日は王子が忙しいらしいと知り、ディアナはどうにか落ち着いた。

それならば明日の午前中に街に行き、急ぎ買い物を済ませれば間に合うはずだ。慌てた自分を恥じながら顔を上げると、カリーナが心配そうに見つめている。ディアナは敬うように接してきた姉たちとは違い、カリーナになら何でも尋ねられるような気持になり、お願いを申し出た。自分が王城に来てから、幾人と交流し、世話になったかを教えて欲しいと。

 

 

翌日、ディアナはカリーナに教えられた品数を買い揃え、まずは連日同行してくれた双子騎士に礼の品を渡した。約束の時刻に現れたカリーナに瑠璃宮にいる魔法導師たちの分を渡し、あとは明日の出立前に王子と王子側近に渡す分をテーブルに置き、やっと安堵する。 

「あとは国王様、宰相様、庭師さんや侍女さんたちに渡す分をこちらに分けて置いて、・・・あ、でも、どうやって渡したら・・・いいのかしら」 

双子騎士かカリーナに尋ねようとしても、もう姿はない。

庭師なら庭園にいるだろうかと考えたが、窓から外を見るととても広い庭園だ。そのどこにいるかも判らない人物を探し歩き、万が一不審者に思われては王子に迷惑が掛かる。廊下に立っている近衛兵に尋ねてみようかとも考えたが、声を掛ける勇気がない。今更悔やんでも仕方がないが、どうして最初に思い至らなかったのか悔しくてならない。

しかし出立は明日。出立時刻は聞いてなかったが、あまり時間はないだろう。

 「・・・食事を運んで下さる侍女さんに尋ねたら、わかるかしら」 

夕刻間近、いつも笑顔で食事を運んでくれる侍女に尋ねたら案内してくれるかも知れない。面倒を掛けてしまうが、出来ることなら直接会って礼を伝えたい。 

そこで、ディアナは気付く。

国王陛下と宰相に直接会って渡すことなど出来るのだろうか。その前に会って頂けるのだろうか。

ぼんやりと頭に思い浮かんだ映像に、ディアナは首を振ってソファに座り込んだ。

王子に託けるのは申し訳ない。本来なら長く世話になったと、直接お会いして礼と詫びを伝えるべきだ。だけど、エルドイド国の国王陛下に、田舎領主の娘が拝謁を願い出るなど出来るはずがない。 

「出立前に・・・殿下にご相談させて・・・・」

 

ディアナは眉を寄せたまま品々を眺めていたが、ふと触れた毛布を手にして小首を傾げる。

確か、この毛布は宿から買い取った物だ。このまま置いておいていいのだろうか。ディアナが買い取った物ではないが、王宮には似合わないような気がする。・・・・その前に、宿とはどこの宿だと眉を顰めた時、眩暈を感じた。 

「・・・・」 

身体全体が揺れたかと思うような激しい眩暈に、額を押さえて目を閉じる。

手から毛布が落ちたのにも気付かず、脳裏を過ぎる何かを追い掛け、ディアナは荒い呼吸を繰り返す。

だが自分はいったい何を追い掛けているのだろう。爆ぜた熾火の向こうに何か見えるようで、だけど近付くと見えなくなる。顔を上げて目を擦ると、風通しのためだろうか、開いたままの衣裳部屋が見えた。

覚えのない豪華なドレス。細かな意匠の靴や宝飾。

どうしてそんな品がこの部屋にあるのかと揺れる頭で考える。記憶が消えていることも忘れ、ディアナは必死に奥底にある何かを追うことに集中し、気付けば叩扉の音さえ聞き逃していた。

いくら考えても答えが出ない記憶を追っていると、ディアナの頭の中に広大な緑が広がり始める。それはディアナの見知っている牧草地の緑ではなく、広大な庭園だった。その庭園には城下大通りの噴水を小さくしたものがあちらこちらに点在しており、陽の光を弾く水飛沫が舞い上がっている。

眩暈が大きく襲い掛かり、激しい動悸に息が詰まった。

この光景を知っている気がする。あの場所で、手を・・・握られた。その人物と、何か話しをしたような覚えが・・・ある? それはいつのこと? あの場所は・・・どこ?

目の奥が痛みを発するほど必死に追い掛けるが、映像は途切れ途切れとなり、やがて揺らぎ始める。 

「・・・くぅ」 

場面が変わったのか、ディアナの視界が高くなっていた。光り輝く大きな会場。綺麗なドレスの人が多く犇めく場所。知らない場所なのに、緊張に動悸が激しさを増す。―――怖い、と思った。そっと目を開けると、指先が震えているのが見える。頭に浮かぶ映像を消したくて、だけど消していいのか不安になる。このまま、もう一度目を閉じて、深い場所まで追い掛けてみようか。

それとも、これ以上は・・・・・。目の奥が、痛い。

 

「ディアナ! 何かあったのか! 開けていいか?」 

「・・・っ」 

強い叩扉の音と怒声のような声に、途端、霧が晴れたかのように映像も痛みも消える。今度は違う動悸に襲われ、身動きも取れぬままに扉を見つめた。いま聞こえてきたのは間違いなく王子の声だ。そう理解すると同時に、自覚出来るほど頬が熱くなる。 

「・・・もしかして、風呂か? ディアナ、・・・開けては駄目か?」 

何か言わなければと口を開くが、声が出ない。顔を上げてディアナは初めて気づいた。いつの間にか室内は暗く、遅い時刻になっていることに。 

トントン・・・と扉を打つ音が弱くなる。

もしや夕食を運ぶ侍女に応答しなかったから、王子がわざわざ足を運ばれたのだろうか。そう思い至った瞬間、今度は全身から血の気が引く。咽喉が詰まったように息苦しく感じたが、それでも出来るうる限りの声を出した。

「は、はい。いえっ、・・・どうぞ」

「ディアナ? 開けても、いいのか?」

相手には見えないと知りつつ、ディアナは頭を下げた。どうぞ、お開け下さいと頷き、立ち上がろうとして失敗する。扉が開く音を聞きながら、ディアナはソファに突っ伏した。

「・・・ディアナ、夜着、ではないよな」

「ひぁっ? ―――だっ!」

「ディアナ!?」

扉に向かおうとした足が、いつの間にか落ちていた毛布を踏み、見事に滑らせたのだった。慌てて起き上がろうとして、今度は手が滑る。そのまま床に転がり、ディアナは声なき悲鳴を上げた。

「ディアナ、大丈夫か! 具合でも悪かったのか? どこか痛む場所はあるか?」

「いえ、いいえっ、だ、いじょうぶです」

近づいて来る靴音に、急いで起き上がらなければと思うほど、羞恥に手が震えてもたついてしまう。

ドレスの裾を引き、やっとソファに肘をついた途端、急な浮遊感に驚き近くの何かにしがみ付く。何にしがみ付いたのか確かめようと顔を向け、ディアナは悲鳴を上げた。

「きゃあああっ!」

浮遊感は王子に抱き上げられたからで、しがみ付いたのは王子の首だった。 

狼狽激しく思わず両手を上げて仰け反るディアナを、王子が引き寄せるように強く抱き締める。どうバランスを取っていいのか分からず、しかし、これ以上叫んではならないと必死に口を押えたディアナは、王子と共にソファに倒れ込んだ。

 

「急に手を離すな、ディアナ。危ないぞ」 

「もっ、も、申しわけ・・・申し訳っ御座いませんっ」 

「今のは殿下が間違っております。淑女を断りもなく抱き上げるなど言語道断です。ディアナ嬢、大丈夫ですか? 大変驚かれたことでしょう。ああ、そのお怒りを殿下に叩き付けても構いませんよ?」 

「・・・え?」 

顔を上げると、そこには栗毛色の髪、蒼い瞳の柔和そうな人物がいて、笑みを浮かべて腕を組んでいる。ディアナが戸惑いながら小さく頭を下げると、彼は少し悲しそうな表情を浮かべた。しかしすぐに優しい笑みを浮かべ、優雅な仕草で御辞儀をする。 

「ディアナ嬢、このような時刻に突然訪室し、大変申し訳御座いません。私の名は、レオン・フローエと申します。そこにいるギルバード殿下の侍従長をしております。どうぞ、お見知りおきを」 

「は、・・・はい。・・・私はディアナ・リグニスと申します」 

「落ち着かれたのでしたら何よりです。実は先ほど侍女より、夕食をお持ちしたが、ディアナ嬢の返答がないと報告があり、何かあったのかと推参した次第で御座います。二日続けて街にお出掛けになり、もしかしてお疲れでお休みなられているとも考えたのですが、万が一を考え、殿下と共に訪れたのです。このように驚かせてしまい、申し訳御座いません」 

初めて会った王子の側近に滔々と語られ、ディアナは顔色を変えて項垂れた。

やはり侍女は来たのか。そして幾度も扉を叩き、返答がないことに違和感を覚えて王子に報告に上がったのだろう。結果王子に面倒を掛けてしまったと悔やみ、そして見えた自分以外の足に目を瞠る。まさかと息を飲み、そろりと顔を上げた。驚くことに頬が触れるほど間近にギルバード王子の顔があり、信じられないことに自分はその王子の膝上に座っている。そう気付くと同時にディアナは気が遠くなった。 

「ディアナ!」 

「っ!」 

名を呼ばれて意識を取り戻したディアナは、倒れ掛けた背を支えられ、無意識に前へと重心を移す。だが遮るように伸びてきた腕に、強く抱き締められてしまった。前も後ろも王子の腕に捕らわれ、硬直する。 

「っ、っ!」 

「・・・殿下。愛しい相手を抱き締めたい気持ちはよぉく解かりますが、しかし時と場合、それと相手の承諾を得てからにした方が宜しいかと存じます」 

「だが、倒れそうだったんだぞ! そんなの、承諾を得ている場合ではないだろう。ディアナ、しっかりしろ。疲れたのか? 街に行き、散々歩かされたのか? それとも、どこか具合でも悪くなったのか? ああ、ディアナは夕食を食べていないんだったな。腹が減って倒れたのか?」 

 

王子にそう思われていることに羞恥を覚えたディアナは恥ずかしさのあまり声も出ない。しかし何があったのかと問われ、思い出そうとして眉を寄せた。

目の奥と、頭が痛かったような気がする。

その原因は、誰かを・・・思い出した・・・? どうして、ついさっきのことを思い出せない?  

無意識に額を押さえる手を、捕らえられる。顔を上げると黒曜石の双眸があった。黒々とした波打つ髪が見えた。ぐらりと揺れそうになる身体を力強い腕が抱き締めてくれている。その熱を、力強さを、どこかで感じたことがあるような・・・気がする。

捕らえられた手を見下ろし、知らず唇が戦慄いた。 

「ディアナ? ・・・どうか、したか?」 

何か問われている。はやく、応えなければ。 

「・・・何か、思い出したのか? ディアナ」 

どこか聞き覚えのあるような声が、耳奥を擽る。

瞼の裏で高く弾ける噴水の水飛沫。温かく、力強い腕。真っ直ぐにディアナを見つめて来る瞳。それは夜空の如く麗しい双眸。それが、ある瞬間、燃え盛る炎のように輝きを放ち、周囲を圧倒する。神聖な炎は宝石のようで・・・それを、私は・・・もう一度、見たい。・・・見て、そして―――

 

「ディアナ?」

「・・・え。・・・えぇ!? ああっ、も、申し訳御座いませんっ! 殿下のお膝の上に、いつまでも! あの、あのっ、手を、放して頂けますか? 本当に、ああ・・・申し訳御座いませんっ」

どこかに意識が飛んでいたようで、自分の立場を思い出してディアナは一気に蒼褪めた。包み込むように回されていた腕から離れた瞬間、痛みを発する胸を押さえ首を捻る。痛みを感じたのは目の奥と頭だったはずだ。どうして胸の奥に鈍い痛みを感じるのだろう。

困惑したまま王子から少し離れ、レオンに着座を勧めた。 

「ど、どうか、レオン様もお掛け下さい。・・・本当に、御迷惑と御心配をお掛けしてしまい大変申し訳御座いません。あの・・・・少し、頭が痛かったような気がしますが、今は問題ありません」 

ディアナは狼狽しながら額を押さえる。何度もぼんやりしてしまう自分を叱咤し、何があったか必死に思い出そうと強く眉を寄せた。 

「私、侍女さんがいらしたのにも気付かず、何を・・・して」 

豪華なドレスを見て、いや、その前に毛布を目にして、何かを・・・誰かを、追い掛けようとした。

何を? 誰を? それは失った記憶なのか、記憶の中の人物なのか。まるで使い古した油の入った鍋底に手を突っ込み掻き回しているようだ。底にあるものを拾い上げようとしても掴めず、わずかも掬えない。

 

「だ、けど、今は思い出そうとしても・・・・」 

「無理はするな。すぐに軽い食事を運ばせるから、食べたら休んだ方がいい。昨日、今日と連続して街に行き、疲れたんだろう。出立はずらした方がいいかも知れないな。二日ほど遅れると、アラントル領主に伝えておこう。その間、ディアナはゆっくり休養してくれ」 

少し急がせ過ぎたか、そう呟く声が聞こえる。その僅かに苦みを含んだ声色に、ディアナの頭の奥が痺れるように震えた。どこかで確かに聞いた声色だと胸が高鳴る。だけど直ぐに思い出すことが出来ない。思い出せないから胸が痛くなる。胸の痛みが、わけの分からない焦燥に変わる。

同時に、アラントルに戻れば二度と会うことなどない人に、どうしてこんな焦燥を覚えるのか戸惑う。

 

「ディアナ嬢、テーブル上の品々は今日買い求めて来られた御家族様のお土産ですか? トランクに詰めるのを、お手伝い致しましょうか?」 

レオンの気遣う声にテーブルへと視線を移し、我に返ったディアナは早速今日買ってきた品を王子とレオンに渡して、深く頭を下げた。 

「長くお世話になっていたと聞き、心ばかりですがお礼の品を用意させて頂きました。お受け取り頂けたら嬉しく思います」 

貴族息女らしい言い回しが思い付かず、アラントルに戻ったら、父親に頼んでもう一度貴族息女としての教育を受け直したいと願い出ようと決める。以前のように侍女仕事の方が大事、など思わない。料理することや掃除は続けたいが、せっかくの学べる機会を拒否してきたことを申し訳なく思った。 

「それと、庭師の皆様や侍女さんたち、国王様と宰相様にも用意させて頂いたのですが、国王様に直接お渡しするのは・・・あの、不敬にあたるでしょうか」

そろそろと伺い訊くと、レオンが大丈夫だと頷いてくれた。 

「出立がずれたのでしたら、国王に時間を御作り願うよう申し伝えておきます。きっとディアナ嬢の願いでしたら、国王も喜んで時間を作って下さいますよ。庭師は、明日一日良くお休みになり、体調が宜しければ明後日にでも御案内致します。侍女は明日朝にでも、食事を運んできた者に渡すのがいいでしょう」

「ありがとう御座います、レオン様」

「こちらこそ、素敵な品をありがとう御座います」

 

安堵の息を吐き顔を上げたディアナの目に、渡した品を手に茫然自失といった態で固まる王子の姿が映った。王子に渡したいと買い求めた品は精緻な刺繍が施されたクラバットだ。王子はその袋の封を開けもせずに固まっている。もしや軽さに驚いているのだろうか。明日にでも買い直した方がいいだろうか。 

ディアナが戸惑っていると、正面のソファに座っているレオンがブルブルと全身を震わせ出す。

そして、その直後に部屋に響き渡るような大きな声を上げて笑い出した。ソファを叩き、ひーひーと笑いながら涙を拭い、やがて「殿下のことは放っておいても問題ありません」と声を震わせる。

「で、殿下、は・・・ディアナ嬢からの贈り物に、感動しているだけですから・・・気にしなくても大丈夫、です。ああー、最高ですっ! 殿下が、こ、こんなにも腑抜けな顔をして、ひっ、ひ・・・ああっ、この顔を、ローヴ殿にも見せてあげたい!」

 

それは本当だろうかと王子を窺うと、視線を感じたのか王子はパチパチと目を瞬き、まるで夢から覚めたかのような表情を見せる。やがて王子の顔が照れたようにじわじわと赤く染まり始めたのを目に、富国強国と称えられるエルドイド国の王子が、ささやかな贈り物に深く喜んで下さっていると、ディアナは嬉しくなった。 

「殿下にお使い頂けたら、望外の喜びで御座います」 

高鳴る胸を押さえながら嬉しさを伝えると、王子の顔がさらに赤くなった。表情豊かな王子にディアナは目を丸くし、そして大きく笑んだ。すると王子の顔は赤というより鬱血したかのような色に変化し、さらには痙攣でも起こしたかのように震え出した。

その変わりように驚いたディアナは悲鳴を上げる。 

「殿下、顔色がっ! レオン様、殿下はお熱がある御様子です! 急いでお医者様をお呼び下さいませ」 

早く医師に診せて欲しいと言っているのに、レオンはソファの上で転がるようにいつまでも笑い続けた。

 

 

 

 

 

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